どこで昼飯を食べようかとあれこれと思案を巡らせながら外苑西通りを白金・広尾・西麻布と北に向けて車をころがしていたら青山まで来てしまった。
お腹もかなり減っていたのでベルコモンズ周辺で探し始めたらなにやら見慣れた看板が。
「サバティーニ」
ここがあったじゃないかと、バカ高いリストランテではなく、手ごろな値段のトラットリアのほうの入り口から店内へ。
またピッツァというのも芸のない話だが、今のように「石釜ピッツァ」が一般的ではない時代にこの店の石釜で焼いたピッツァを初めて食べた若き日の感動を再確認したい衝動にかられ、懲りもせずに「ピッツァ・マルゲリータ」のランチセットを注文する。
サバティーニのピッツァは巷で流行っているモチモチピッツァではなく見た目はクリスピータイプである。クリスピーとはいえデリ系のバリバリ・モサモサではなくパリパリのあとにモチモチとした食感がくる。
ソースはかつてイタリアを旅行した時に食べまくったピッツァのソース。昔からある伝統的なソースとでも言おうか。
歴史の重みを感じる味のピッツァである。あっ!美味い!という驚愕ピッツァではなく、じわじわと感動が滲み出てくるまるで古典小説のようなピッツァである。
しばらくこの店に顔をださずに他の店に浮気している間にサバティーニのピッツァは私のランキングから漏れてしまったようである。さて、ナンバーいくつにしようか悩むところだが、このピッツァは私にとっては記念碑的な意味合いを持つので、「名誉会長」のナンバーであるナンバーゼロを付与することにする。
女房が食べた「海の幸のスパゲティ」のソースも奇を衒ったところない伝統を感じさせる味である。南仏マルセイユの美味しいブイヤベースをさんざん煮込んだあとに残るエキスのようなソースの味は、「スパゲティソースかくあるべし!」という原点を感じさせてくれる。
メニューを見る限り、このお店の料理に斬新さはない。どこにでもあるオーソドックスな料理ばかりである。雨後のたけのこの如く創作系のイタリアンが出現する中(それを否定はしないし、積極的に評価をしているが)頑なに自分のスタイルに固執するこの店のポリシーには頭が下がる。
末永く大切にしたい店である。
アンティパストの盛り合わせ
海の幸のスパゲティ
チョコレートケーキとティラミス
ティラミスは
tira(tirare) →引き上げる
mi →私を
su→上へ
という、3語から成り立っている言葉です。
ティラミスは「私を天国まで連れて行って!」という意味だ”、と説明されていますが、
それほど美味しいということの意訳だそうです。
(
rei-dolceさんの記事より引用させていただきました)
アンティパストの盛り合わせ、パスタ又はピッツァ、サラダ、ドルチェ、コーヒーで2200円。