やっと時差ボケ~ふらふら~状態から脱出できたので、”旅の想い出”シリーズを再開したい。今日は鰻の話。
ボクの家の近くに鰻屋があった。家族ぐるみの付き合いをしていたんので、成人するまでこの店以外で鰻の蒲焼を食べたことはなかった。ここの蒲焼はいわゆる関西風で、蒸さずにカリッと焼き上げてあり、これがあるときまでボクにとっての蒲焼のスタンダードであった。
ところが、大学時代の「あるとき」、鰻好きの友人に連れて行ってもらった高田馬場の鰻屋で、ボクのスタンダードはみごとに突き崩されてしまったのである。その蒲焼は口の中でとろけ、それがご飯と渾然一体となった旨さは今でもはっきりと脳裏に焼き付けられている。それ以来、近所の鰻屋の蒲焼を食べても美味しいとは感じられず、いつのまにかその蒲焼を敬遠するようになってしまった。言うまでもないが、高田馬場で食べた蒲焼は関東風である。
幸いというべきか、東京には関西風の鰻の蒲焼を出す鰻屋はほとんどないし、たまに関西方面に出かけたときも鰻の蒲焼を好んで食べることもなかったので、それからうん十年の間というもの関東風のふんわり&とろける蒲焼に何度も舌鼓を打ってきた。
あれは2年前の夏。東海道五十三次を歩いているときに立ち寄った鰻屋「あつた蓬莱軒」で久しぶりに関西風の表面カリカリ&適度な歯ごたえの蒲焼に出会った。ひと口食べたときに、子供のころ食べた蒲焼を思い出し「しまった!」と思ったが、なんのこたぁない、噛み進むにつれてその旨みが感じられ、知らぬ間にその魅力にすっかりとりつかれてしまっていた。
さて、本題に入る。
宮崎県は鰻の生産量が全国で3位だそうだ。西都市は美味しい蒲焼を食べさせる鰻屋がたくさんあるという情報を新宿にある「宮崎館 KONNE」の観光担当の方から聞いた。宮崎に住む友人を尋ねた帰りに西都の「本部 うなぎ屋」で鰻重を食べた。
注文は呉汁がついた鰻重「特」(2500円)。待つこと20分・・・まだ出てこない・・・店内は半分ほどの埋まり具合なので10分くらいで出てくると思っていたのに・・・さらに20分・・・ボクよりも先に入ったお客さんもまだ食べていない。あと10分くらいか・・・・・さらに20分、合計1時間ほど経ったころやっと目当ての鰻重が登場。
歯ごたえがかなりある。なのに脂っこさはなく、旨みが凝縮されている。表面のオコゲが香ばしく、これなら1時間も待たされた甲斐があるといってもいいだろう。洗足にある「川京」が閉店してから関東風の蒲焼を外で食べることが皆無になってしまったが、もしも東京のどこかの鰻屋でふんわり、とろんとろんの蒲焼を食べたら「あじけなくて、こんなもん、くえねぇ~!!」なーんてことになってしまうかもしれない。
鰻料理「本部 うなぎ屋」(宮崎県西都市):http://www.fgnet.jp/honbu-unagi/