フランスやスペインを旅行するたびに大好きなワインを数本、ときには十数本購入し、エッチラおっちらと日本まで運んでくるのだが、その苦労を考えるとちょっとやそっとの肴で、それらのワインを飲んでしまうのが惜しくてなかなか飲めない。その数、すでに数十本になり、狭い我が家のリビングはそれらのワインに占領されてしまい、足の踏み場もないほどになってしまった。
そうならないためには、はるばる運んできた苦労に報いるだけの肴を用意すれば解決するのである。ところが、旅行から帰ってみると、旅先での出費が災いし、手元不如意の生活を強いられることになり、そんな余裕はない。
旅先の想い出がぎっしりと詰まったワインたちに早く日の目を見せてあげなくてはという理由と、リビングの自分の居場所を確保しなくてはという理由で、思い切ってそのうちの一本を抜栓することにした。
肴はできるだけ安価なものを、できうる限り苦労を重ねて作ってもらうことで、なんとかワインに見合うだけの価値をもたせるよう女房に指示をだした。ボクもレタスを切ったり、生ハムを袋から出したり、女房の邪魔にならないように外を散歩したり・・・・・と、できるかぎりのことはした。
このワインは南フランスのあるレストランで飲み、あまりにも美味しかったので、その場で購入したものだ。
果実の香りが高く、スッキリとした酸味を帯び、喉越しがとてもさわやかである。レストランでの食事やそこからの眺めを思い出しながら飲むと、ふわりとした幸福感に包まれる。
肴はイサキの地中海風蒸し、チャンピニオンのプランチャ、鶏とシメジのクリームコロッケ、地中海風サラダ。
クリームコロッケなんかないじゃないか!というクレームが聞こえてきたような気がする・・・実はこれがクリームコロッケなのだ。
じゃーん!!
カロリーを抑えるために、クリームコロッケの中身にパン粉を振りかけて、オーブンで焼いたものである。
ワインを飲んだのは・・・・・
今日は肉が食べたくはなかった。できれば、淡白な魚を食べたかった。それも洋風ではなくて和風で。
それなのに、それなのに、ディジョンマスタードを食べたいがために、それに合う肉を食べる羽目に陥ってしまった。
そりゃ、平目の刺身にワサビの代わりにディジョンマスタードを娶らせるなんてのもアリかもしれない。食べれば食べられないことはないだろう。でもこの和洋折衷は考えただけでゾッとする。
ということで、今晩の酒の肴はこんなもんになった。
どこ産の何等級の牛肉だかわからない牛もも肉のステーキ、そろそろアブナイ白インゲン豆とソーセージの煮込み、冷蔵庫の中で打ちひしがれていたレタスと干からびたパルメザンチーズと太陽光線に焼かれたわけでもないのに日焼けしたパルマ産生ハムのサラダ。
ステーキにはディジョンマスタードのほかにモリーユ茸のソースを合わせた。モリーユ茸のソースを拡大すると・・・
こうなる。汗と涙の結晶である。ちなみに汗と涙は女房が流したものではない。このソースがはるばるおパリから日本にやってくる間に流したものである。
素直に白状してしまおう。今やフランス全土を席巻する勢いの冷凍食品専門店”PICAR”で買い求めたものだ。だから運搬途中に溶けてしまい、ソースの入った袋が汗と涙を流した・・・っちゅーわけなのだ。
ワインは”ジャン・ピエール・ボニー”の”ブルゴーニュ パストゥグラン”。ブルゴーニュのあるワイン専門家は「ブルゴーニュだけれど、ブルゴーニュじゃない フフフ」と半分バカにした評価をしていた。(ディジョンやボーヌのワイン専門店ではこの種のワインを見かけなかった)
だからというわけじゃないけど・・・たぶん、だからなんだろう、それほど美味しくは感じられなかった。
先週末の夕飯の献立は、”ブレーマ”のソーセージ、タコのガーリック&オリーブソース、スペインのオリーブというシンプルなものであった。
この日、特に”ブレーマ”のソーセージが食べたかったわけではない。それでもあえて、食べたのは・・・。
”マイユ”のフレッシュ・マスタードが食べたかったからなのである。このマスタードは瓶詰めのマスタードに比べると、ツンとした辛味が強く、味がシャープで、ソーセージにつけて食べると格段に美味しくなる。ステーキで試したところ、これにもバッチGOO~!であった。こんな経験をすると、日本人だけではなくフランス人も「マイyぅ~!」と叫ぶこと必定である。かな?
”マイユ”のフレッシュ・マスタードは3種類("Vin Blanc" "Chablis" "Ancienne Chardonnay")あり、それぞれ味見をすることができる。("Ancienne Chardonnay"は粒マスタード)購入したのは「白ワイン味」と「粒マスタード」。かわゆいオネエさんがにっこり笑顔で壺にマスタードを注ぎ入れてくれる。100gで10ユーロ弱とちょっと高めだけど、それだけの価値はある。
”マイユ”ブランドは日本にも浸透しており、あちこちに店舗がありそうだが、店舗はディジョンとパリのマドレーヌ広場前の2か所だけだそうだ。マドレーヌ店では扱ってないので(2004年現在)、ディジョンに行かれたら是非!
"MAILLE":http://www.maille.com/pages/boutiquesMaille.aspx
ワインは”メルキュレー”のプルミエ・クリュ。2006年ミレジムは2005年ものよりも早飲みができると聞いたので抜栓した。
とてもあっさりとした、そしておっとりとした感じのワインである。悪く言えば個性に欠けるワインであるものの、また飲んでみたいと思わせる何かが潜んでいるようなワインであった。
残ったワインをロワールのチーズ「ル・サン・トーバン」と合わせてみると、ワインの味が豹変した。今まで感じられなかった”なめし皮”の味が顔を出したのである。なめし皮の味は好ましい味とは決していえないものの、ワインがチーズを触媒にしてこういう変化をするという驚きは、旨いとか不味いとかを論ずるのがはばかられるようなある種の感動をもたらしてくれた。
ディジェステフはボーヌで購入したカストリである。なんとなく戦後の新宿駅下の屋台街を思い出させるような味である。(って戦後の新宿は映画でしか見たことないけれど・・・)
〆はネスプレッソ。ショートは緑色、ロングは青色が好みである。(現在、ユーロがとても安くなっているので、カプセルはユーロ圏で購入したほうが断然トクだ。日本で買うよりも40%以上安いんじゃないかな?)
帰国してからすでに4日も経つというのに、時差ボケが一向に治らない。午後9時頃に就寝し、そろそろ朝かと思い枕元の時計を見ると午前零時半。で、そのまんま、まんじりともせずに本当の朝を迎えるという日々がもう4日も続いている。もしかするとこれは単なる時差ボケではなく”老人性不眠症”というヤツなのだろうか?
帰国した日、スーパーに買い物に行く気力もなく、ましてや近くの蕎麦屋に出かける元気もないので、冷凍庫で眠っているものつまみに安酒をあおりながら当ブログをチェックしたところ、なんと某女史から報復バクダンが撃ち込まれているのを発見。バクダンが撃ち込まれた日は運良くパリに疎開していたので当方には甚大な被害はなかったのでホッと胸をなでおろす。
ところが、翌朝の午前1時に再度、某女史の記事を見てみたところ、どうしても「寿司処 會」の寿司を食べなくては気が済まなくなってしまった。某女史は最近「時限性バクダン」を開発したのだろうか・・・・・?
午後5時に予約を入れて「寿司処 會」に突撃したいところではあるが、あいにくそこまでの元気がない。そこで密使(=女房)を派遣して「ちらし寿司」と「ばらちらし」をテイクアウトすることにした。
「ちらし寿司」。
「ばらちらし」。
どちらもこれぞ「寿司會」の味。うまい!!
でも、やっぱりカウンターに座りながら、中山大将のキビキビとした仕事ぶりを見ながらつまみたいものである。近いうちに・・・。
アペリティフはランスで購入した”キャティエ”のミニボトル。ワインは今や幻のワインとなってしまった勝沼醸造の”ISEHARA”。寿司ととてもよく合うワインである。
「出汁巻き玉子」。これは朝食用に。
「目には目を、歯には歯を、寿司には寿司を・・・」ということで、ピコさんの
”等々力の「すし処 會」で食べました!飲みました!!”にトラックバックしちゃいます。ウヒョ!
我が家では渡仏前に息子と外で食事をする習慣がある。そのときにはそこらへんのファミレスやチェーン居酒屋ではなく、そこそこのところに出かける。今回は等々力にある「寿司処 會」。
まずは河豚皮の煮こごりをつまみに生を一気飲み。つづいて白ワイン。以前は刺身や寿司との相性が抜群な勝沼醸造の”ISEHARA”をよく飲んでいたが、もう入荷してこないそうだ。田崎真也さんが何かの雑誌でこのワインを絶賛して以来、今ではレアワインとなり簡単には手に入らなくなってしまったのだ。昨年、醸造元の「勝沼醸造」を訪問した折に聞いたところ、ボルドーのグラーヴのあるシャトーからも注文が入ったとのことである。
で、飲んだのはイタリアのソアーベ。「ISEHARA」と傾向がとてもよく似ており、十分に楽しむことができた。
「〆め鯖」。鯖は当然、新鮮であり、酢の〆具合、塩加減がちょうど良い。
「鰯の刺身」。青魚でも鯵はさばいてショウケースの中に並べられてあるが、鰯はその都度、冷蔵庫から出してさばいてくれる。脂が乗っていてとても美味しい。
「鱚の昆布〆め」。昆布効果のせいか、かすかに”ねっとりとした甘み”が心地よい。
「貝の刺身」。この店は別名「寿司処 ”貝”」とも呼ばれており(by 自分)、どの貝も活きが抜群によろしい。コリコリ(貝を噛んでいる音)、ごっくん(ワインを飲む音)、コリコリ、ごっくん・・・ワイン消費を促進する肴である。
「若筍の刺身」。これを食べていると、春が足音を立ててこちらに向かってくるのを感じる。
「生牡蠣」。こんなに美味しい牡蠣は今までに味わったことがない。なんとも表現できない味わいである。
そろそろお腹がいっぱいになりそうなのでご飯ものをいただくことにした。
「雲丹ご飯」。いつもの定番。
「穴子の握り」。ボクにとってここの穴子握りは食べ物ではなく「飲み物」である。口の中でとろけるほど柔らかく、口に入れたと思った刹那、まっしぐらに食道に入ってしまうのである。その喉越しの爽快さたるや「スーパードライ」も及ばない。(かな?)
〆は「中トロの細巻き」。あは~ひあわふぇ♪
さて、明後日、フランスに飛びます。今回はボルドーとブルゴーニュを回り、桜の蕾がふくらんだ頃、帰国する予定です。それでは、いってまいります。
おっと忘れるところであった・・・ピコさんの
”夏から秋へ、そんな季節の「すし処 會」”
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