「きょうしま?」と大学時代の友人から電話をもらった。
彼は生まれも育ちも深川の生粋の江戸っ子で、「ひ」と「し」の区別がつかない。
従って、「きょうしま?」とは「京島?」ではなくて「今日、暇?」なのである。
その彼と恵比寿のスペイン料理「ティオ・ダンジョウ」(Tio Danjo)で食事をした。
ここは何回も予約のトライをして連敗し続けてきた店である。(もろちん・・・う?なんかへん?・・・もちろん当日の予約だが)
まずは突き出しを齧りながらスペインのセルベッサ「クルス・カンポ」で乾杯。
この突き出しのハムのパテ(?)がとても美味しい。
これを食べただけでこのお店が予約の取りにくい店だということがわかるような気がする。
●「鰯のマリネ」
ひこ鰯の鮮度が抜群に良く、酢のしめかたもなかなかいい。
オリーブオイルも良質なものを使用していると思われ、パンできれいに皿を拭きとってしまったほどである。
●「ポテトサラダ」(Ensaladilla Rusa)
ポテトサラダと書いたが正確には「エンサラディージャ・ルサ」(ロシアサラダ?)という。
私の知っているロシア・サラダとは異なるが具が豊富でとてもいい味をしていた。
これでもパンをガツガシ食べてしまう。
●「トルティージャ」
味つけは好きな味であるが、焼き方がイマイチである。
「トルティージャ」は広尾
「ラス・トレス・ラマス」のがNO1だ。
●「季節野菜とひよこ豆の煮込み」
学生時代にマドリーに1か月近く滞在したときに毎日のような通ったソル裏の「Manacor」(マナコール)の煮込み料理にそっくりな味である。
素朴でホッとする味である。
具の中にコリコリとした心地よい歯ごたえのものがあったが、聞けば「豚の耳」だということで、一瞬ギョッ!となったが、臭みもなく味も良くなにも考えずに食べた。
(15年ほど前に「青龍門」で先輩に無理矢理食べさせられた豚の耳の料理は臭くて食べられたものではなかった)
●「イカの墨煮」
これは文句なく旨い!
イカもほどよく柔らかく煮込まれてあり、ソースをパンにつけて食べると思わず、
¡ Viva España !
と叫びたくなってきてしまう。
お皿に墨の黒さをまったく残さないほどパンでキレイに拭きとってしまう。
舐めたんですか?と聞かれそうだ。
●「ハモン・イベリコ・ベジョータ」
お腹はもうはちきれそうである。
この店のパエージャの味見は断念し、そろそろポストレ(デザート)でもと思った矢先、オーナーシェフから「どうぞ、サービスです」といって出されたのがこれである。
ハモンの「5J」(Cinco Jotas:シンコ・ホタス)はスペインの生ハムの中でも最高級の生ハムであり、ハブーコ村でどんぐりだけで飼育された豚を使用、スペインの王室御用達である。
この生ハム、最高の味で、スペインでもこんなに旨い生ハムを食べたことはない。
ロハの生ハムを頂いたからお返しというわけではないが、このお店は料理が旨いだけでなく、サービスが気持ちよい。
グラスのワインの減り具合がちょうど良いころを見計らって、サッとスタッフがワインを注いでくれるし、パンだってなくなりそうな頃にアツアツのパンがスーッと目の前に置かれるのである。
やはり、予約の取りにくい店にはそれなりの訳があったのである。
●スペインのシャルドネ「ウルベソ」と「サングレ・デ・トロ」
やや緑がかった淡い黄色。
アロマは白い花、柑橘系が複雑に入り混じっている。
口当たりは優しく、しかし味わいは深く、エレガントな骨格を感じさせる。(以上、某所からのパクリ 笑)
「愛さえあればなんにもいらない」と愚妻は常々口の端に掛けているが、私にいわせると「シャルドネさえあればなんにもいらない」なのだ
いい年こいたおばさんが「愛」なんて口にすんなっちゅーの!
「なにいってんのよーあいっていうのはあんたの娘の名前ですからーーー!ざんねーん!」
店を出て二人のほろ酔いおぢんは、土砂降りの雨の恵比寿を次なる飲み屋を求めて徘徊するのであった。
★「Tio Danjo」(
お店の紹介ページ)
住所 東京都渋谷区恵比寿1-12-5 萩原ビル3-2F
電話 03(5420)0747
営業時間 5:30p.m.-1:00a.m.
定休日 日曜・祝日